月夜に舞う桜華
「俺達は、好きで椿の側にいるんだから」
眉を下げる司にあたしは小さく笑う。
「ありがとう」
「だけどな!!」
ビシッと眉を上げて司は朔夜を指差す。
朔夜は、きょとんと司の指先をみる。
「お前を許したわけじゃないからな!!」
「はっ」
朔夜は鼻で笑うと、あたしの腰に手を回して引き寄せる。
「おい!」
「みっともねぇよ?」
ククッと笑う朔夜に喚く司達。
近くで煩くて耳障りなはずだのに、酷く心地よくて、あたしは朔夜に寄り掛かってゆっくりと目を閉じる。
絶えず聞こえてくる言い争う声を耳に優しい風を頬に受けながら、あたしは意識を沈めていった。
安心する、落ち着く。
久々の、否初めてかもしれないこの一時が、ずっと続けばいいのにと思った。