月夜に舞う桜華



朔夜は、ニッと笑うとあたしの腰に回していた手を強くして密着を強くする。


(あぁ、離す気なしね)


抵抗しても無駄なだけ。
あたしは小さく溜め息をつくと、諦めて朔夜に身を預ける。
朔夜は、満足そうに目を細める。


「えーゴホン。話を始めても?」


咳払いと共に昌は控えめに言葉を紡ぐ。
あ、とばつがわるく思いながら、どうぞと促す。


「たく、いちゃつくなら家でやれよ……」

あたしの背後からあきれたような彰真の声がとんできて、あたしはうっと身を縮ませた。


「彰真」

「はいはい」


総長も甘いなぁーと彰真は肩を竦める。


「始めますよ」


昌の一言で視線が昌に集中する。さぁ、始めると口を開いて一音出そうとした昌の声は、第三者に妨害される。


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