月夜に舞う桜華



「総長!すみません!!」


ダンダンッとドアを叩かれて焦りを帯びた声が飛んでくる。


それに、口を開いた昌は眉を寄せて派手に舌打ちをした。


「チッんだよ……」

「!」


まさか、昌から舌打ちが出てくるとは思わなくて、不機嫌そうにドアに向かっていく昌から漂うのは確かに副総長の気だ。


やっぱり昌も雅龍なんだなぁと改めて思う。
外見だけだったら優等生にしかみえないもの。


「なんだ」

「!副総長っ」


ドア越しに立っていたのは恐らく下っ端。髪の色は明るい茶色。学校は同じだ。


いつもより機嫌が悪いのを感じ取ってそいつは肩を縮ませた。
それが、さらに昌の機嫌を悪化させるとは知らず。


「用件は」

「あっはいっ!つ、椿さんはいらっしゃいますか?」

「?」


あたし?


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