月夜に舞う桜華



肩越しに振りかえれば上にあたしを呼びに来た下っ端と他の雅龍のメンバーが睨むように見つめている。


「何?」


静かな智樹の声が倉庫に響く。


「椿さんを何処に連れていく気だ!ここからは出さねぇぞ!!」


あ、そうだ。朔夜に倉庫から出ないって言ったんだった。


「司、」

「あ?俺達に指図すんなよ」


ギロリと睨み付ける司に、懐かしさを覚えた。
皇蘭の頃は眉間に皺寄りっぱなしで面白かったなぁ………って今はそんな懐かしんでる場合じゃない。


「ここは雅龍だ!総長の許可なしに連れていかせねぇ!!」

「………」


いくら朔夜が言ったとしてもあたしは彼らとは認識ないし、話したこともない。
それなのに、忠実に朔夜の言い付けを雅龍を守る彼らに朔夜は良い仲間を持ったなと思った。


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