月夜に舞う桜華
「司、そんな遠くには行かない?」
「あ?あぁ、すぐそこだ」
頷く司にあたしは彼らに目を向ける。
「あたし、ちょっと出てくるから」
「椿さん!!」
「朔夜達は今忙しいみたいだし」
「ですが!!」
「朔夜には、何でも言うこと聞くからって言っといて」
ひらひらと手を振りながらあたしは司達に行こうと促す。
その言葉に司達は嬉しそうに頷いた。
「………で、どこに連れていくの」
「ついてからのお楽しみ」
スキップでもしそうな勢いにあたしは若干の不安を覚える。
何故か両腕は掴まっているし。なに、あたしが逃げ出しそうな位にやばいの。
ズルズルと雅龍の倉庫より少し離れた場所に連れていかれる。
割りと広い場所。バイクが何台も止められそうだ。
そこで、あたし達は足を止めた。