月夜に舞う桜華
「ここ?」
「そ」
司は、ズボンのポケットから携帯を取り出すと、どこかにメールをする。
すると直ぐに改造したバイク音が何重にも重なって近づいてくる。
「な……に…あれ……」
「驚いたろ?」
鼓膜を破りそうな位に大きな爆音を轟かせながら、あたし達の前に一台、また一台とバイクが止まっていく。
次々とバイクが集まってきて、やっと爆音が止んだかと思えば、広場に埋まるくらいのバイクの数になっていた。
あたしは、茫然とぐるりと周りを見渡す。
「なに、これ………」
「ん?皇蘭だよ」
「は……?」
司を見上げるとニッと笑うだけ。
皇蘭?何言ってるの?皇蘭は今は和が………。
「桜姫が死んだと聞いたとき俺達は直ぐに皇蘭を抜けた」
桜姫がいない皇蘭には何の意味もないから。