月夜に舞う桜華
そう思ったのは俺達だけじゃなくて、桜姫に心酔していた奴等はほとんど皇蘭を抜けた。
そして、一ヶ所に集まった俺達は、桜姫はいないが皇蘭を掲げた。
「あいつが表の皇蘭を支配してるがな。俺達は俺達で、皇蘭を、桜姫の桜を掲げたんだ。」
バイクから下りてくる皇蘭の奴等。
良く見れば彼らのバイクには桜をモチーフにしたデザインが貼られていた。
皇蘭の――――あたしの、桜。
こんな所にも、あたしの場所があった。
「っ」
「うわっ椿っ」
ポロリと、目尻から涙が一粒零れ落ちた。ざわめく周囲にあたしは涙を拭うことなく心は、歓喜で震えている。
「お前達は、死んだ桜姫を」
「死んでたとしても、桜姫が俺達の総長には変わりねぇよ」
ポンポンと背中を優しく叩かれる。