月夜に舞う桜華
司を見上げ、潤達一人一人に目を向け、皇蘭の皆に目を向ける。
皆、あたしに向ける目は同じで、あたしの心は、温かさで一杯だった。
「なぁ、椿」
「なに?」
「また、総長なってくれるだろう?」
その言葉に心臓が跳ねる。
切望の眼差しを向けられ、あたしは地面を見つめる。
総長………か。
今のあたしには総長をするだけの器は残っていない。
あの頃のあたし………桜姫はあの瞬間に死んでしまったから。
今はただの、椿でしかない。
「――――あたしは、総長は出来ない」
「椿………!!」
「今のあたしはただの椿だ」
眉を下げ、申し訳ない気持ちで一杯になる。
「でも!」
「あたしは、雅龍の朔夜の側にいたいと思うただの女に過ぎないんだ」
だから、ごめん皆。