月夜に舞う桜華
もうあたしには、1つのチームを束ねるだけの力はないから。
「ありがとう。こんなあたしを、桜姫を思ってくれて」
「っ」
「総長は、雅龍に戻るんですか!?」
静かにあたしの話を聞いていた一人が声をあげる。
見覚えはないが皇蘭だったのだろう。
「そうだな」
「っ絶対に、ですか?」
「うん」
頷くと、そいつもわかりましたと頷いた。
「俺は、総長の側にいたいです!だから雅龍に行きますっ」
「は?」
「そうすれば一緒にいられるでしょ?」
重要なのは皇蘭という袋じゃない。桜姫という、人間が俺達には重要なんだ。
「そう思わないか皆!!」
「「あぁ!!」」
わああっと一気に歓声が上がる。
パチパチと瞬きを繰り返す。