月夜に舞う桜華
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ブーブーと携帯が着信を告げる。
俺は画面を見ることなく通話ボタンを押した。
「――――俺だ」
『よぉ。予定通りあいつが連れていった』
「そうか」
チラッと昌に目配せをすると昌は頷いて部屋から出ていく。
それを合図に他の連中も動き始めた。
『しっかしまぁ良く考えたな』
「誉めても何も出ないぞ」
『ハハッ俺達もすぐ合流すっから』
声の向こう側はバイクの爆音で煩い。
数はかなりある。
短時間で良く集めたなと思った。
「ちゃんと椿には言っただろうな?」
『言った』
何も言わずにあいつと対面させるわけにはいかないからな。せめて、少しの時間をやらないと。
やっと、このときが来た。
椿を、桜姫を楽にしてやれる。