月夜に舞う桜華



『しっかしな―ちゃんと意味理解したかな………』

「は?」

『いや、近くにあいついたから言葉で説明できなくてさ』

「何で説明したんだ」

『目』


………………。


「………お前、殺す」

『は?ちょ、おい!』


呼び止める声も聞かずにブチッと電源を切ってやった。


あの馬鹿野郎が………


「朔夜、準備出来た………どうしたの」

「昌、今すぐ出るぞ」


イライラしながら俺は立ち上がり昌の横を通り過ぎる。


「何かあった?」

「あの役立たず椿にちゃんと説明してねぇ」

「は?」

「急ぐぞ」


あの椿馬鹿は死刑確定だ。
俺は自分のバイクに跨がりながら溜め息をついた。


(椿………)


椿がいくら大丈夫だと言っていても中は全く大丈夫ではない。
あいつにあって壊れなければいいと願うだけだ。


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