月夜に舞う桜華
でも、朔夜は違った。
「たった数ヶ月知り合った奴は信じられる?」
「………そうだね」
「俺じゃなく?」
「……そうなる」
「………」
和は、下を向いて黙りこくった。
その沈黙が、怖い。
どれほど沈黙が続いたか、漸く口を開いた和からは、やはり狂ってるとしか言えない言葉を紡いだ。
「やっぱり、殺す」
ゆっくりと顔をあげた和の目にはあたしを殺すということしかもう考えていなかった。
「和、」
「やっと俺のものになったのに………」
「あたしは、」
和のものになった覚えはない。
あたしは、あたしのもの。
「悪い子だ……」
「和、お前、」
「まぁいいか。また俺のものにするし」
ニタリと笑う。
危険だとあたしは確信して身構えた。