月夜に舞う桜華
『和、』
『俺は……』
木に爪をたててそのまま崩れていく。
『すまない、本当に、』
『和……』
『俺は、俺は……』
何かを言いたくても言葉が出てこない。
そんな和にあたしは拳を振り上げた。
『!?』
『謝るなら最初からするな』
脳天直撃のあたしの拳を受け、きょとんと頭を押さえながら和は見上げてくる。
(子どもだな)
そしてあたしはこの大きな子どもの母親か。
そう考えると笑えてくる。
『ほら、立て馬鹿』
あたしはもう一度、和の頭を叩くと立つように促す。
『桜姫、』
ゆっくりと立ち上がる和の手をとった。
『行くぞ』
グイッと引っ張れば和は少し前のめりになりながらも一緒に歩き出す。