月夜に舞う桜華
『なんでもねーよ』
乾いた笑みを浮かべる和に、俺は不安を覚えた。
『そうか?』
『あぁ………そうだ、お前ら』
『?』
『桜姫のこと、好きか?』
和に聞かれて、キョトンとした俺たちは顔を見合わせ、強く頷く。
『『勿論!!』』
大事な俺達の総長だし!!
『………だよな』
『…………』
和がそんなことを言うなんて不思議だと思ったんだ。
(深刻な顔して………何を考えている?)
俺は、ジッと和を見つめた。
嫌な予感が、する。
毎日喧嘩して馬鹿やって、笑って。
そんな日々が、崩れてしまうような。
嫌な、予感。
その日から俺は、和、と言うよりも桜姫の近くにいるように努めた。
根拠なんかない。
本能が桜姫の側にいろという。