王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「……もしかして、最初からどっちも作らせようと思っていた?」

 まさか、とは思うけれど一応は確認。

 親友と呼んじゃおうかな、と思うくらい最近は仲良しの東久保理佳に、この二人は策士だから注意するように言われている。

「綾菜ちゃん、鋭くなってきちゃったね。成長しちゃって僕、寂しい」

 真坂は腰をくねらせた。

「サンプルがあったほうが比較しやすい。わかっているなら、さっさと作ると言えばよかったんだ。俺に手間をかけさせるな」

 メタルフレームの眼鏡に手をやる御影。いつものことではあるが、えらそうな態度だ。

「ホントに策略だったんだあ……。二人とも困ったひとたち」

 いちおう聞いてみただけなのに、本当に計画的だったとは。ちょっと、びっくり。

「女の子を困らせるなんて、琥珀は罪な男だね」

 真坂は、わざとらしく御影にくっついた。

「二人とも、と綾菜は言っているだろう? 自分だけいい子でいようとするんじゃない。それに、いちいちくっつくな」

 御影のエルボーが真坂のみぞおちに決まる。

「琥珀は愛情表現が過激だなあ」

 苦悶しながらもうれしそうな真坂。

 この漫才のようなやりとりにもすっかり慣れてしまった。
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