王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「半崎、俺はいつまでここにいたらいい?」

 パイプ椅子に座り、腕組みをしているのは綾菜の同室者である久我隼人。

 すっかり見慣れてしまったが、うっとりするほど整った顔立ちのひとだ。

 御影、真坂とともに学園のアイドル的な存在なのも頷ける。

「久我さんがいたいだけいればいいと思いますよ」

 サボりがちとはいえ、久我もロボット同好会の一員だ。参加するしないは綾菜がとやかく言えることではない。

「オマエな……」

 久我の眉間に思いきり皺がよった。

 今の返事に不都合でもあっただろうか。

「あっ、綾菜ちゃん、ゴメーン。僕、ちょっとだけ隼人を脅しちゃった」

 真坂がぺろりと舌をだしておどけてみせる。

 謝られる理由が思いつかず、綾菜は困惑した。

「久我さんを脅す? どうやって?」

 しばらくルームメートをやってきた綾菜はよくわかっている。

 久我は誰かに屈する人間ではない。脅すことなど、絶対に無理だ。

「ん、簡単。ちょっと耳元でささやいてみただけ。活動に参加しないなら、綾菜ちゃんを抱きしめちゃうよって」
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