王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

『日本に帰るって本当なの?』

『綾菜と別れるなんて嫌よ』

 泣きながら引きとめてくれたのは、家族のように過ごしてきたボーディングスクールの友人たち。

『ごめんね。もう決めたの』

 いつも賑やかで笑いにあふれた、女子だけの全寮制という環境。

この幸せを捨てるのは本当に勇気がいった。

『どうしても、日本で見つけたいものがあるの』

 無理かもしれない。けれど、何もせずに諦められない。

『見つけたら、また戻ってくるから』

 目的を果たしたら、必ずイギリスに戻る。だからみんな待っていて。

『行ってくるね』

 たくさんのごめんねとありがとうを残して、綾菜――半崎綾菜は日本の地を踏んだ。

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