王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
「あの……。私、無理です」

「なにが?」

 久我は頬杖をついて尋ねてくる。

 十分に離れているのに、一瞬、顔を覗きこまれた気がしてドキリとした。

「だから、男のひとと同室は……。その、変更とかできないんでしょうか」

「無理」

 綾菜は目を丸くした。

 即答するような簡単な質問だろうか。事情が事情なのだから考慮があってもいいはずだ。

「ずっとは無理でも、しばらくの間とか……」

「オマエ、寮則の説明を受けていないの? 寮則本は受けとったよな?」

「寮則ですか? 話の途中で倒れちゃったし、本はまだ読んでいないので……」

 入寮に際し、書類をいろいろもらったけれど、まだ目を通していない。

 部屋に関して重要な規則でもあるのだろうか。
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