王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「琥珀ちゃーん。だーいじょーうぶー?」

「うるさい。話しかけるな」

 御影はソファーに顔を埋めたまま、大声をあげた。

 綾菜に名前を呼ばれ、真坂は露骨に喜んでいたが、それは御影も同じ。

「違反だろ、あれ」

「だね。すっごい可愛かった」

「独り言だ。勝手に同意をするな」

 なんでも見通していると言わんばかりの真坂。

 苛々して足蹴りしてみたが、うまくかわされた。

「でも、琥珀と隼人が被るとは思っていなかったな。僕、どっちにつけばいい? 困っちゃうなあ」

 真坂は心底、楽しくてたまらないらしい。

 今にも踊りだしそうな勢いだ。

 こんなのが親友だと思うと、余計にムカついてくる。

「お前だって、結構、気にいっているくせに」

 フレンドリーな態度に反して、真坂は誰かと深く関わることをほとんどしない。

 だが、綾菜のことは必要以上に気にかけている。

 余程、気にいっていなければあり得ない。

「そりゃあ、琥珀にふさわしい子か、ちゃーんと吟味しないと」

「なんだ、そりゃ」

 呆れていると、真坂は一瞬だけ真面目な顔になった。
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