王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「まあ、僕みたいなのに好かれたら、綾菜ちゃんが可哀想だしね」

「純也……」

「っていうのは冗談だけど、せっかくだから綾菜ちゃんに助けてもらって、あの引きこもり隼人をなんとかしない?」

 副寮長の肩書は伊達ではない。

 いいかげんと思われがちだが、事実上、寮運営の実務を一手に引きうけているのは真坂だ。

「そういうのはお前に任せる。ただ……」

 御影は真坂を信頼している。

 行動や考え方も、自分と相違は多々あれ、一応は尊重する。

 だが、今のは気にいらない。言わなくては気がすまない。

「なに?」

「僕みたいなとか、自分を卑下するのはやめろ。俺の親友を侮辱するのは、本人だとしても不愉快だ」

 なんで男相手に、こんなことを言わなくてはならないのか。

 御影は、恥ずかしくてそっぽを向いた。

「琥珀はホントにいい子だねー。大好きだよ」

「く、くっつくな。この変態!」

 首を絞められんばかりに抱きしめられた御影の絶叫が、運営室に響いていた。
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