アクシデントな恋
二人のそんな空気をこわすように、美紗(寿麻ママ)は
コンコンとドアを叩き
「今日はもう遅いから…良かったら龍君、家に泊まって行って、もうじきにパパも帰ってくるし…
ごはんもまだでしょ?
少し遅くなってしまうけど、パパが帰ってきたら一緒に食べましょう。
下に降りてきてね。」
そうドアの向こうで言うと下に降りて行った。
龍は寿麻を自分の方に向けると
「お母さんの心遣い無駄にしたら悪いな…」
龍は少しハニカミながら寿麻に言った。
それに対して
「なっ…何を言ってるの…泊まるって事?」
寿麻は少し慌て言った。
寿麻の家はお客さんを泊める部屋など無く…
龍が泊まる部屋はここしかなかった。
そんな寿麻を無視するように
なにくわぬ顔で
「お母さんが呼んでいるから下にに降りよう。」
寿麻は龍が何を考え何を思い、あんな事を言っているのかが解らなかった。
『私の両親には、騙していることがバレ無いようにする為に仲が良いふりをするのかしら…?
それとも…只カラカってるだけ…?
どっちにせよ一大事!』
寿麻は眉間にシワを寄せて考えていた。
そんな寿麻を知ってか知らずか、龍は寿麻の手を引き下に降りて行った。
龍は寿麻がこんな事を思っているなど考えもしていなかった。
只、素直に美紗の心遣いが嬉しく、二人の仲を信じて接してくれている事が龍をそうさせていた。
この日の夜、この部屋に寿麻と泊まる事になるなんて思いもせずに…。