アクシデントな恋
「お義父様、これでよかったのでしょうか?
あの子達は何も言わずに帰って行きましたが…

私達のような事を繰り返して欲しく有りません。

幸せのはずが…何処かで愛されている自信が
有りませんでした。

お義兄様と瑠璃子さんの葬儀の後..... 」

そこまで言うと、礼子の顔が曇った。

その姿を見て大蔵は

「もしかして... あの日一臣が祭壇の前で言っていた事を聞いていたのかね?」

礼子はコクリとうなずいた。
そして

「私は、龍を引き取ろうと思っていました。
その相談をしようと一臣さんを探していたら…
偶然見てしまったんです。
一臣さんが、2人の位牌の前で、泣きながら
〈瑠璃子、何で俺の前から居なくなったんだ
遠くからお前の幸せをずっと願い見てきたのに…
兄さん、瑠璃子を返してくれ、
何で、二度も俺から.....
兄さんだから諦めたのに…
兄さんなら瑠璃子を幸せにしてくれると... 〉
あの時は胸が張り裂けそうでした。

それで…すみません
龍を引き取ろうとは思えなくなってしまった
それと同時に、一臣さんをここから離そうと...
あの事件は私には願っていたチャンス
だったんです。
私は悪魔です。」

礼子は今まで心の中に抱えていたものを
泣きながら吐き出した。
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