言い訳
「あぁーっ、いいなぁ畜生ー、あたしも打ち上げ行きたーい」
 中村はそれを聞くと申し訳なさそうに頭を掻いた。
「悪ぃな。女にまで片付け手伝わせて」
 うわやばい、ミスったかも!?
 そう思ったあたしは慌てて首を横にぶんぶん振った。
「や、あたし体育委員だしっ! 手伝うとか当たり前だから! ていうかあたしは全然平気だし。 別に打ち上げに参加できなくなるわけじゃないんだからさ」
 苦しいフォローだったかもしれない。でもなんとか中村もじゃあそういうことにしとく。と、ほっとした顔をしてくれた。
「あぁ……でも今年は人数の割には早く片付いたらしいぞ。 みんな頑張ってくれてたしな」
「確かにねー。まぁあたしはあんま役に立ってなかったっぽいけどー」
「いやいや、助かったわ。石原すげーテキパキ動いてくれてたじゃん」
「へへ、細かい仕舞い方はよくわかんないだけど、あぁいう力仕事は得意なんだー。だってほらあたし一応陸部で砲丸投げやってるし」
 言いつつ片腕を叩いて見せた。が、すぐにあたしは自分の失言に気づいた。何言ってんのこのバカ! と自分で自分にツッコミをいれる。男子(しかも相手は中村)に向かって力自慢をしてしまうなんて! そりゃ普段から女の子らしくないとか言われるけど! 何も自分で男らしさを印象付けることないじゃん!

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