幕末怪異聞録



時雨は沖田の元に戻り、許可をもらったと伝えると再び姿を消した。


斎藤も隊務に戻っていった。





「ーーやっぱり時雨の様子がおかしい気がするだよね~。なんかさっきから挙動不審だし……。こう、何かに怯えてる感じもするし。
土方さんのところから帰ってきたらまた様子が変だし、何か言われたのかな?」


「……。」


「それともまた何か起こる……とかかな?またすぐに何処かに姿を消しちゃったし。何か上手く気配を消してるから何処にいるのか分かんないんだよね……。

あれ?山崎君聞いてる?」


一方的に話していた沖田がやっとその口を止めた。


山崎はと言うと、丁度部屋に戻るところで運悪く沖田の前を通り、話し相手のほしかった沖田の格好の餌食となったのだった。


隊務から帰ったところだし、疲れていた山崎はニコッと笑った。


「正直あの嬢ちゃんがどうなろうと私の知ったこっちゃありません。むしろあまり好きではないので、こうして顔を見れないだけで私は嬉しいです。それより沖田組長。」


そこまで言うと急に目付きが鋭くなり、沖田の方に向きを変えた。


「貴方は病人ですよ?こんな寒い廊下をウロウロして……。
部屋でじっとしてられないんですか!はい、部屋に着きましたよ!さっさと寝てください!」


「えー……。時雨が気になるんだけどーー」


「つべこべ言わず部屋に入りなさい!」


キッと睨まれた沖田は肩をすくめて、「おっかないなー。」と呟いて部屋に入った。


その様子を見た山崎はため息を一つ溢したら、めんどくさそうに外へ出た。





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