後ろ姿

三者面談

高校生活は進むのが早く、あっという間に夏休みがやってきた。

しばらく先生に会うことも、屋上で話すことも出来ないんだと思ったらすこし悲しかった。

終業式が終わったあと、私は一人屋上にいた。

｢寂しくなるな･･･｣

毎年夏休みはウキウキしてるのに、今回はどうしてもウキウキしない。

｢はぁ･･･｣
｢よぉ！
どうした大きなため息なんかついて｣
｢先生！｣
｢明日から夏休みだな！
嬉しいだろ？｣
｢うん･･･｣
｢どうした？
嬉しそうじゃないな｣
｢そんなことないよ！｣
｢そうか？｣

それからしばらく話していると、辺りはいつの間にかオレンジ色に染まっていた。

｢もうそろそろ帰るか？｣
｢うん･･･｣

帰りたくないって言っても先生を困らせるだけだもんね。

｢でも、明日からしばらく柳瀬とここで話せないのは残念だな｣
｢･･･｣

先生も同じことを思ってくれてたんだ。
嬉しい！

｢先生、そんなに寂しいの？
ウチと会えないのが｣
｢別に･･･｣
｢じゃあ私帰るね！
また二学期に｣
｢おぉ！｣

私って単純だな！
先生の一言ですぐ元気になっちゃった！

｢よーし！
明日からの夏休み楽しむぞぉ｣

塾やバイトなどをしていると夏休みはあっという間に過ぎていった。
そして夏休みもあと半分になった今日、高校生になってから初の三者面談。
お母さんと井上先生と私による懇談。
私は小さい頃から幼稚園の先生になることを夢見ていた。
私は自分の正直な気持ちを、井上先生に話した。
｢私、子供が好きなので幼稚園の先生になりたいんです」
｢そうですか。
自分の夢を持つのは素晴らしいことですが、今は不景気のためもあり就職も進学も難しくなっています。
生半可な気持ちでとても出来るものではありません」
｢生半可なんてっ･･･」
｢もし本当にその幼稚園の先生になりたいという夢を叶えたいならもっと自分の成績をあげるべきですね」
｢･･･はい」

そこからのことはあまり覚えていない。
お母さんと井上先生が何かを話してたのは覚えてる。