スミレ限定―リミテッド―
いつもなら痛くて泣いてるあたしが、
そこでは珍しく泣かなかったんだっけ。
「花菜瑠っ!!??」
「だーいじょうぶだよー」
実はちょっと痛いけど、お花のおかげであまり痛くなかった。
…雲ひとつない空、
足元にはむらさきのお花、
あたたかい風、
「…~♪~~♪」
自然と口から出てきたのは、
昔、お母さんが歌ってくれた名前も知らない歌。
今この瞬間にピッタリだと思った
「いい歌だな」
っっっ!!!
びっくりして声が出なかったが、恐る恐る後ろを振り返る。
「…きれーな、めぇ…」
そこには七歳とは思えないぐらい整った顔をした、
かっこいい男の子がいた。
「…ほんと?」
「うん!ほんとだよ。黒色の髪にあう!!!」
真っ黒の髪にすみれ色の瞳
とてもよくあっているとそう思った。