ずっと先生。

出会い



「おぅ、えらい、早く来て勉強してるなんて」

 入塾してすぐの頃だったと思う。
きびきびした受験生の雰囲気に似合わない、ちょっと間延びした先生の声が背後から聞こえた。あたしのクラスの数学担当、相原先生だった。

 相原先生は、いつもおんなじ黄色いネクタイをしてる。年は23歳だって言ってた。授業中、誰かが話していたけど、大学院生で、この塾の卒業生らしい。

 あたしは大学院ってところが何なのかよくわからなかったけど、バイトで先生をしてるってことはわかった。
 
 「はあ、まあ・・・」

 ママに強制されてきています、なんて言えず、曖昧に返事をした。

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