クロトラ!-妖刀奇譚-

「お兄さん何者…ってまあ今はいいけど。
抜刀隊って刀持ったお巡りさんのことだよね?」



「なんか気の抜ける言い方だな。…ま、そうだ。コイツもその一員だろう。袖飾りからすると幹部だな。」

「げ。弱っ!」




少女は呆れて男を見下ろした。



「うーん…今日初めて闘(や)ったけど、こんなのが幹部って、抜刀隊って全然怖くないじゃん。」




呆れ顔で笑う少女に、ワサビは顔をしかめる。



「アンタ、抜刀隊を見たことないのか?
連中は洋式兵術を叩き込まれた陸軍の精鋭、かつその中で剣術も目録以上を修めた者だけを選りすぐった実力派だぞ。」



「え!?じゃあこの人は?」


ワサビも足元に伸びた男を呆れ顔で見下ろした。



「コイツはたぶんお飾りだ。
もっと上の役目に就く前に肩書き増やしにあちこち回ってる、政府要人のご令息かなんかだろうよ。」

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