クロトラ!-妖刀奇譚-
少女はさらに呆れた様子だった。
「なんか…せっかく新しい政府になったのにね……そういうとこは"あっち"に似てるんだ」
「あっち?」
独り言のつもりでつぶやいた言葉を聞きとがめられて、少女はあわてた。
「あ、こっちの話!
――それよりさ、逃げなくていいの?それとも全部やっつけるとか?」
ワサビは何か聞きたそうにしていたが、近づく足音に気を取り直した。
「どうするかな…。ここでおさらばして身軽に逃げた方が得策――だがな、」
ちらりと笑って少女を見る。
「アンタは玄虎丸のことを知りたいんだろう。」
痛いほど真剣な眼差しが返って来た。
それにうなずいてやると、ワサビは付いてくるように少女を促した。
「俺の家まで行こう。
連中まくためにかなり遠回りするから、遅れずについて来な。」