心友。~友達の彼氏をスキになった。~

(……)


と、悟の動きがピタッと止まった。




(…?)


恐る恐る目を開けると、鼻先ほんの数センチのところに悟の顔があり、まずはその近さに藍は驚いた。


(わわ)


悟の視線は藍の唇に留まり、動かない。


(あ、私震えてる…?)


唇の震えを押さえようと伸ばした藍の細い指先も、やはり小さく震えていた。




「ち…がう…」


悟を嫌がってるんじゃないと伝えたいのに言葉にならず、代わりに涙が目に溜まる。


(い、今泣いたらあかんやん…)


そう思うのに、涙は勝手に溢れ出す。





…瞬間、悟の深い瞳の色に優しく温かい色が差した。



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