君を想うとⅢ~True love~
“伊織と距離を置く”
そう言いきると、部長は俺から視線を反らして伊織の頭をいとおしそうに撫でていた。
―わからない
部長の考えがわからない。
そんなに伊織のコトを愛していながら、どうして伊織の手を放す??
敵に塩を送るなんて、部長らしくない。
それに…
期待して裏切られるのはもうイヤだ。
これ以上、伊織にNOを突き付けられたら俺はもう立ち直れねぇ。
そんな気さえする。
だけど…、期待しちまう俺もいる。
今が付け入るチャンスだと叫ぶ俺もいる。
完全に伊織と二人の世界に入って行ってしまった部長を見ながら、俺はゆっくりと扉を閉める。
そして…廊下のカベにもたれかかってハァとため息をついた。