君を想うとⅢ~True love~



「理央……。」



心強い理央の言葉。
予想だにしなかった嬉しい言葉。





でも……いいのかな。
コレは私一人の問題なんだよ?


この子を産みたいのは私一人のワガママなのに。
そのワガママに理央を巻き込んでもいいの……??





理央の言葉が死ぬほど嬉しいのに、何故か素直に喜べない。






そんな…複雑な私の心境を汲み取ってくれたのかな。





「伊織。
アンタが私に悪いとか、申し訳ないとか思ってるなら、そんな感情は捨てなさい。
私はね?自分がそうしたいと思ってるから言ってるのよ。」




そうキッパリ理央は言い切る。






肉食女子……
いやいや、ここまでいったらカッコよすぎでしょう、理央さん。
うっかり惚れてしまいそうになるじゃないか。






目の前にいる、肉食男前女子・一ノ瀬理央に思わず笑いが出る。





そんな私を見てフフッと笑うと





「好意には素直に甘えときなさい、伊織。
今回の件にはね。ちょっと私も責任を感じてるんだから。」





そう言って
理央は私の頭をそうっと撫でる。







「おめでとう、伊織。
アンタがママなら…
きっと、きっと、生まれてくる子は幸せよ。」






窓から差し込む、柔らかな春の木漏れ日の中で。




私たちは静かに、静かに、抱き合って、喜びの涙を流した――……。




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