こねたぼっくす



その力を、お前は持ってるくせに。

どうして大事に出来ないんだよ。

言い合いになって、美華ちゃんを泣かせたことを言えば黙った。

初めて本気で好きになった人だから、戸惑う気持ちもわかる。

けどだからって泣かせていいわけじゃないんだよ。

美華ちゃんは誰より優しくって傷付きやすい子なんだから。


文化祭のことについて話して、任せてもらうことにした。

俺だって、美華ちゃんのことは好きだけどさ。


「期待しないで待っとくわ」

「期待しろよっ!」


カチカチとケータイをいじって、隠し撮りした美華ちゃんの写メを見る。

美華ちゃんのことは好きだけど、斗真だって大事なんだよ。

それに、2人の間に俺が入る隙間なんて…ないだろ?


「斗真!」

「うお!…何だよ」


いきなりドアが開いて和泉さんが入ってきた。

いつものように俺の身体は固まる。

もう、昔の俺じゃないんだ。

好きな人の力に、なってやる。

和泉さんは俺を一瞥して、さっさと部屋を出ていった。

ほっと息を吐く。

冷たい目は、昔と同じだ。

あの目を見たら何も言えなくなってしまう。

でも、美華ちゃんの力になるって…決めたんだ。






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