こねたぼっくす
「廉、暇なら一緒に回ろうよ」
「暇だけど、友達と回るんじゃないの?」
「彼氏と回るんだってさ。独り身同士一緒に回ろうぜ!」
腕を組まれて方向転換。
ま、別にいいか。
美華ちゃんに見られても…
美華ちゃんは、俺のことなんて気にしないだろうし。
それから果恵と一緒に回った。
水飴作りとか、お互い手べとべとになって爆笑したし。
このまま、果恵を好きになれたらいいのに。
そう思った瞬間、目の前に今にも泣き出しそうな美華ちゃんが現れた。
思わず駆け寄る。
「あ…っ」
「美華ちゃん、どうしたの!?」
「っ、櫻沢くん…!」
きゅっと、美華ちゃんが俺のセーターを掴んだ。
胸の奥から愛しさが溢れ出す。
抱き締めたい衝動を抑えて、頭を撫でた。
「…どうしたの?何かあった?」
「あたし、あたし…っ!やっぱりどうしても、…っ」
唇を噛んで言葉を止める美華ちゃん。
……どうして、君じゃなきゃだめなんだろう。
俺の後ろには俺だけを見てくれる女の子がいるのに、
俺は俺を見てくれない人を好きになる。
君はやっぱり、斗真が好きなんだね……。