こねたぼっくす
美華ちゃんが見つからなかったのか、やる気がなくなったままコートに向かう斗真。
…教えてやんないと、気付かなそうだな。
「頑張れよ!美華ちゃんも見てるぞ」
「はあ?どこに…、」
美華ちゃんを見てにやけてる。
本気、なんだよな。
じわじわとやる気が出ていってるのがわかる。
ゲームが始まって斗真が走り出す。
そして軽やかに3ポイントシュートが決まる。
…斗真は、男の俺から見てもかっこいい。
本人は自分がモテるのは軽いからだって勘違いしてるけど。
冷めてるのに男としてしなきゃいけないことをさらっとしてる。
だからこそ男にも女にもモテるんだ。
「斗真ーっ!!」
「頑張ってーっ!!」
本当はみんな、どうして斗真が美華ちゃんに惚れたのか謎だった。
それこそ初めは気紛れだと思っていたし。
けど…みんな斗真の本気に気が付いた。
嫉妬するより前に、あの斗真が本気で人を好きになったことが嬉しかったんだ。
中学のときから女遊びが激しくって有名だった。
そんな斗真の変化だからこそ、みんな協力してるんだ。
守備?に向かうために向きを変える。
切り換え速いな…なんて考えてると、斗真の動きが止まった。
視線の先を見たら…美華ちゃんがいた。
ああ、目を逸らさなきゃ。
じゃないと泣きそうだ。
逸らして、また見る。
2人はまだ見詰め合っていた。
胸が締め付けられる。
どうして美華ちゃんだったんだろう、なんて。
考えたってきりがないのに。
どうしてみんな美華ちゃんの魅力に気付かないんだと頭に来た。
でも俺は、誰にも美華ちゃんの魅力に気付いて欲しくなかったんだ。
顔とか、スタイルとか、そう言うんじゃなくて。
美華ちゃんは心に響くことを無意識でしてくれるから。
泣きそうな美華ちゃんの笑顔。
神様なんて、いないんだ。