その涙も俺のもの
「美優、ごめんな。俺、なんもわかってなかった」

「ううん、いお君は悪くないの」




なんで…なんで全部自分で抱え込もうとするんだ?



「少しは、俺にも不安を分けてよ」

「…え?」



「俺はずっと独り占めしたかった美優が手に入って、嬉しくて幸せで、周りをちゃんと見てなかったんや。だから、美優の不安に気づかなかった」



「いお君…」



美優が顔を上げた。


ふと、俺の視界に美優の口元が入る。


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