その涙も俺のもの
いお君は微笑んだ。


私もつられて微笑む。



いお君が手を伸ばし、私の手をそっと握った。

そしてそのまま、自分の顔に当てた。



「怒鳴ってごめんな。こんなかっこ悪い姿、見られたくなかったんや」



「かっこ悪い?…全然。どんないお君でも、かっこいい。いお君以上なんていないよ」



いお君は私の頬にキスを落とした。



「照れる。…なぁ、美優?」


「なに?」


「俺、一回美優への気持ち、リセットするな」



< 150 / 233 >

この作品をシェア

pagetop