闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》

静かな空気が広間に流れる。

だれも何も話さない。

レーアのコツコツと鳴るヒールの音だけがこの場に響いている。

この空気が余計に胸を苦しめる。


「ダークは、何をしに行ったんだろう 」


ふと思ったことが、口に出てしまった。

ハッとして口を塞ぐが、もう遅い。

余計なこと言っちゃった。


「さあ・・・怖くなって逃げ出したのかもよ。 全然帰って来ないし 」


ケイトが冗談っぽくケラケラと笑って言った。

みんなは呆れた顔で視線を送ると、再び黙り込んだ。

「それにしても、あの魔女も遅いわね。 ちょっと様子を・・・ 」


レーアが広間を出ようとした時、モーガンが姿を現した。

ダークは⁈


「近くを探してみたんじゃが、見当たらんかったわ 」


ため息交じりにそう言うと、モーガンはやれやれと言わんばかりに首を振った。


「いないってどういうことだよ 」


ルキアが立ち上がり声を荒げた。


「ほんとに逃げちゃった感じ? 」


気まずそうにケイトが眉をひそめる。




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