闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
知らない。
初耳なんですけど。
ていうか、ダンス出来ないんですけど。
「早くしないといい人から取られちゃう 」
え、そうなの…
「残念だけど、ダンスは男性が女性を誘うシステムになってますから 」
私たちの後ろからクスッと笑って現れたのはケイトだった。
「待ってても来ない場合どうするのよ 」
ムスッとした表情で優希がケイトを見た。
「じゃあ、俺と一緒に踊りますか? 」
「じゃあって何よ。でも喜んでっ 」
語尾にハートマークを付けたように、優希はケイトの腕を掴んだ。
「えぇー、ずるいよ 」
「ごめんね樹里♪ 頑張って! 」
そうガッツポーズをすると、2人は外へと消えて行った。
1人ぼっちになった私は、小さくため息をついた。
無責任なケイト!
私は誰と踊れっていうのよ。
ワイングラスのぶどうジュースをゴクリと豪快に飲むと、ダンッとグラスをテーブルに置いた。