闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
家の前に着くと、ちょうどお姉ちゃんがどこかから帰ってきたところだった。
「あれ? あれあれ~? 」
顔をパッと明るくして、私たちを見ている。
また変な勘違いでもしてるのかも。
「素敵な彼氏ね。何歳? 」
「もう、やめてよ 」
急いでお姉ちゃんの腕を引っ張る。
「あ、そうだ。これよかったらどうぞ 」
そうダークに差し出したのは、ビーフジャーキー。
「お姉ちゃ…! 」
「特売だったから2つ買ったの。おいしいわよ 」
よりによってそんな……
もっとマシな物はなかったのかよ。
クッキーとかチョコレートとか…
後ろめたい目でダークを見ると、無言でそれを受け取った。
「牛の干し肉か。俺も好物だ 」
そうニヤッと口角を上げた。
え、そうなの?
あそっか…狼だもんね……
「じゃあ、また 」
「あ、ありがとね! おやすみなさい 」
小さく手を振ると、ダークは笑みを浮かべて去っていった。
「彼、なかなか素敵ね。干し肉…か 」
お姉ちゃん……
ありがとね。
なんだかあったかい気持ちになって、その笑顔につられて私も唇が緩んだ。