《完》オフィスでとびきりの夜を
あたしはぎこちなく目線を
そらして、



「……知らないっ」




……つき合うようになって
から、あたし達の関係は
いっつもこうだ。



あたしの方が年上なのに、
瑞樹の方がいつも一枚も
二枚も上手(うわて)。



あたしはいつも瑞樹の
ペースにのまれて、振り
回されてオロオロしたり、
ドキドキしたり……。



別にそれが嫌なわけじゃない。



だけど――常に余裕の
瑞樹の表情を見てると、
時々むしょうに悔しいんだ。



なんか、あたし一人だけ
子供みたいで。



今もホラ――ちょっと
真顔で覗き込まれた
だけで、もう心臓が早鐘の
ようにトクトクと打ち出してる。



あたし一人だけが平静も
保てないくらい瑞樹が
好きで、振り回されてる。
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