《完》オフィスでとびきりの夜を
部屋の中でも大きな物音
がして、息を飲む音や
『きゃっ』という叫びが
聞こえてくる。



あたしは飛び込んだ勢いで
つんのめったような体勢の
まま、続けて思いっ切り叫んだ。



「あっ、あたしの瑞樹に、
変なことしないで!!」



(課長がどんだけ瑞樹の
こと気に入ってたって、
ゼッタイ渡さない!

瑞樹のこと誰よりも
好きなのは……あたし
なんだから……!)



たとえもう瑞樹が課長に
傾いてたとしたって。



あたしは必死で、瑞樹を
追いかけるんだから――。



「…………っ」



言い切ったあたしの荒い
呼吸だけがその空間に響いてた。


それ以外は課長の声も、
瑞樹の声も全く聞こえない。
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