俺はお前だけの王子さま
微妙な午前の時間帯。


空席が目立つ電車に揺られ
俺たちは海についた。


浜辺には
夏休みで結構な人がいる。


簡易の更衣室に入ると
ヒロキはさっさと着替えて浜辺をぐるりと見渡した。


「あは、海はいいね~♪」


見知らぬ女たちが
通りすがる度にこっちを見る。


《やばい~》

《めっちゃカッコいい子いるんだけど…!》


そんな声が聞こえるたびに
ヒロキのテンションも上がる。


「あぁ~あのお姉さん、ナンパしてぇ」


「………」


「あ、冗談だからな?」


呆れ顔の俺に
冗談っぽく笑うヒロキ。


鼻の下伸ばして冗談とか言われてもな?


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