俺はお前だけの王子さま

海で絡む想い

海に行く日は
あっという間にやってきた。


集合場所の駅に行くと
すでに俺以外の3人が来ていた。



修学旅行ぶり以来の私服姿。


見慣れたヒロキはともかく…


制服じゃない渡瀬と夏木は、
なんつ~か変な感じだ。


「てか渡瀬…何?その荷物」


俺は渡瀬が肩から提げた大きなカゴのバッグに目をやる。


お前だけ海に泊まりに行く気か?


渡瀬はえ?って顔で
カゴバッグを覗きこんだ。


「え…と?タオルとか上着とか水筒とかお手拭きとか浮き輪とか」「あ―…はいはい」


聞いておいて言葉を遮る俺。


てか水筒って…。


んなの重いし
海で買えばいいのに


さすが節約家。


そんな俺に、
変な顔で少し頬を膨らます渡瀬。


思わず笑いそうになる俺は


ヒロキの視線に気付いて
少し我に返った。



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