俺はお前だけの王子さま
「渡瀬さん」

ヒロキは今日も渡瀬の机に向かう。


「新商品買っちゃったから今日も一緒に食わない?」


爽やかな笑顔。


弁当を開く前の渡瀬は少し戸惑ったように一緒にいる夏木を見た。


「私はいいよ」


夏木は少し頬を染めてヒロキと俺を見る。



あほらしい。

勘違いすんな。

俺は嫌々なんだよ…。







屋上に上がると
空は今日も広く晴れ渡っている。


「王子くん」

「…あ?」


俺は渡瀬を見る。

渡瀬は今日もショボい弁当。

「今日委員の集まりあるよ」

「………」


だから何?

なんで俺が行かなきゃなんねぇの。

渡瀬1人いりゃ十分じゃね―?


そんな俺の心を読み取ったのか
俺が反論する前にヒロキが笑顔で答えた。


「コイツは必ず参加させるから渡瀬さんは安心して!」


ヒロキの笑顔に渡瀬も笑顔で頷いた。





< 30 / 558 >

この作品をシェア

pagetop