俺はお前だけの王子さま
「うぅ―…だって…」


「………」


少し困った顔をする王子くん。


私は王子くんの横に移動すると
そのまま膝立ちして王子くんを抱き締めた。


ふわりと胸の前で王子くんの頭を抱き締める。



「胸…あたってるけど」

「……」


それでも私は優しく王子くんを包み込んだ。


王子くんはそれ以上
なにも言わずにただ私に抱かれていた。


王子くん…

王子くん…


いつも私を気にしてくれた王子くん。


だけど私が王子くんの為に何かしたことは、あまりなかった…


「話してくれてありがとう…」


私の知らなかった王子くんを
またひとつ見つけた。


こんなに悲しい王子くんがいたんだ…


泣けない王子くんの代わりに
私が泣いた。


いつか、王子くんの泣ける場所になれたらいいな…


私も王子くんの支えになりたいよ




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