俺はお前だけの王子さま

悪く言わないで

「未提出者はもういないか?」


冬休みを目前に控えたHR

担任の桂先生が進路希望の用紙を回収していた。


未提出だった数人が黒板の前に提出しにいく。


私も用紙を提出しに行った。


「ん?渡瀬はまだ白紙か?」


桂先生は私の提出した用紙を見ると私を見た。


「はい…すみません」


私は進路に悩んでいた。


お母さんの希望は大学進学だけど…

私は働きたい気持ちでいた。


大学に憧れはあるけど…

進学する理由が見つからないことと、やっぱり家計を楽にしたい気持ちが強かったから。


そして、私はまだその事をお母さんと話し合えていなかった。


「まだ悩んでいるなら先生が相談に乗るから放課後、指導室にきなさい」


桂先生は小さく微笑みながら、私の肩をポンとした。


「ありがとうございます、」


私は小さく頭を下げると席に戻った。


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