俺はお前だけの王子さま
「………」


王子くんはそんな私の手を静かに取ると


それを自分の胸元に当てた。



トクン…トクン…


王子くんの少し速い心音を手のひらに感る。



「…あ……」


私は思い出した。


初めて結ばれた日も…王子くんがこうやってくれたことを。


緊張で無理だと言った私に―…



俺も緊張してる…


緊張するのはお互いに好きだからじゃねーの?


王子くんはそう言ってくれたんだった。




「…………」


私は王子くんを見上げた。


まっすぐな瞳で切なく私を見つめる王子くん


「渡瀬も…スゲー綺麗になった」


王子くんは優しく私の頬を撫でた。


「…………っ」


大人っぽくなったけど、綺麗でまっすぐな瞳は昔と変わらない…


私の大好きな王子くんがそこにいた。



「渡瀬にこうしたくてたまらなかった」


王子くんはそう言うとそのまま私の唇をふさいだ。



< 485 / 558 >

この作品をシェア

pagetop