俺はお前だけの王子さま
徳井に昔、言われた言葉を思い出す。


“世の中もっと上手く渡れよ”


俺が初めて桂に頭を下げた日のことだった。


あの頃は

それが大人なら、んなのゴメンだと思っていた。


だけど

大きなことを言ったって実際、大人にならなきゃ守れないものが沢山あった。


結果を残さなきゃ、守りたい奴の傍にいてやることもできない今


俺は不器用なりにもがむしゃらに進んできた。


俺は手元にある分厚い書類に目を通した。


“いよいよだな”


ケビンの言葉が耳に残る。


本当にいよいよだった。


今日は俺ががむしゃらに進んだ結果がいよいよ出る時だった。



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