俺はお前だけの王子さま
―――ヒロキと夏木の結婚式。


久しぶりに逢った渡瀬は

この4年間、何度も夢にみてきた渡瀬よりもずっと綺麗になっていた。


ようやく逢えた。

ようやく渡瀬に逢えた。


はやる気持ちを抑えながら、
俺は何度も渡瀬を抱いた。


「王子くん…」


何度も俺を呼ぶ渡瀬の声。



だけどそんな時間は瞬く間に過ぎていった。


泣きながら眠る渡瀬を見て

本当は俺だってまだ日本に残りたかった。


せめてあと一晩だけでも――…



だけど俺は帰った。

帰ってやることがあった。


俺は翌日に重要な商談を控えていた。


この商談が決まれば、俺のNYでの仕事の集大成になるはずだった。


決まるかどうかは五分五分だったから渡瀬にはまだ言えない。


だけど絶対に決める。


決めて今度こそ―――…





「行ってくる」


俺は眠る渡瀬に呟いた。


行ってくる、

だけど次に逢う時にはもう二度と離さない


そう心の中で誓いながら。



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